医療法人社団湖光会 若草診療所

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甲状腺の病気


Ⅰ 甲状腺のはたらき


 

甲状腺は首の前、のどぼとけの下にあってチョウチョがはねを広げたような形をしています。正常の甲状腺はほとんど外から触れることはありません。

甲状腺が産成する甲状腺ホルモンは体の働きを調節するとても重要な働きをしています。糖を分解してエネルギーを産成し、心臓を刺激して脈拍や血圧をあげ、神経活動を活発にします。体の成長にも大切です。甲状腺ホルモン(検査ではFT3、FT4)が少なくなると脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌されて、これが甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの産成を促します。逆に甲状腺ホルモンが過剰になると甲状腺刺激ホルモンは低下します。このようにして甲状腺ホルモンの濃度は精密に調節されています。

甲状腺の病気には大まかに分けると、甲状腺ホルモンが過剰になるものと不足するものがあります。


Ⅱ 甲状腺中毒症

 

A. 甲状腺ホルモンが増加する病気でいくつかの原因が知られていますが、共通した症状がみられます。

1. 動悸;安静にしていても脈が速いのですが、特に階段をのぼったり運動したりするとさらに動悸が強くなり息切れを感じることもあります。不整脈も出やすくなります。
2. 発汗;一日中じっとりと汗ばんでいるのが特徴で、特に夏に暑がり、冬でも寒さを感じにくくなります。
3. 手のふるえ;注意してみると手や指が細かくふるえます。症状が強い場合には足や膝がふるえることもあります。
4. 体重減少;食欲はあるのに体重が減っていきます。
5. 軟便;腸の動きが活発になるために、以前に比べて便の回数がふえたり、便が柔らかくなる、便秘が改善するなどの症状が現れます。
6. その他、女性では無月経、男性では手足の麻痺がおこることがあります。

では次に、甲状腺刺激ホルモンが増加する代表的な病気を見ていきましょう。

B. バセドウ病

甲状腺刺激ホルモンの代わりにTRAb(抗甲状腺刺激ホルモン受容体抗体)という物質が甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンを過剰に産成します。このTRAbは正常の人には存在しません。またどのようにしてできてくるかも分かっていません。症状は上に述べた甲状腺中毒症の症状のほかに、甲状腺の腫大と目の症状が特徴的です。まぶたが腫れたり、大きく目を見開いて白目が目立ったりします。また目がごろごろしたり斜視になったりすることもあります。適切な治療を受けないと、不整脈や心不全になることもあり危険です。

C. 無痛性甲状腺炎

バセドウ病や後述する橋本病の人において、甲状腺組織が何らかの理由で壊れたときに、甲状腺内に貯蔵されていた甲状腺ホルモンが一時的に血液中に放出される病気です。血液中の甲状腺ホルモンは上昇しますが甲状腺がホルモンをたくさん作るわけではありません。甲状腺中毒症の症状が見られますが、血液中の甲状腺ホルモンが低下するに従って、2、3ヶ月の経過で自然に軽快します。出産のあとでおこることが多いので、産後甲状腺炎という別名もあります。名前の通り甲状腺に痛みはありません。

D. 亜急性甲状腺炎

ウイルスの感染によると考えられています。甲状腺の痛み、発熱とともに甲状腺中毒症の症状が現れます。この場合にも甲状腺組織の破壊により、甲状腺ホルモンが上昇するのもで、甲状腺機能(ホルモンを作る働き)は亢進しません。ステロイド剤などの抗炎症剤を用いて治療します。

 

Ⅲ 甲状腺機能低下症

 

A. 甲状腺ホルモンが低下する病気でこれにもいろいろな原因があります。甲状腺中毒症とは逆の諸症状がみられますが、中毒症とは異なり患者さんが自覚することは少なく、まわりから指摘されて初めて気づくことが多いようです。

1. 皮膚が乾燥してかさかさする。

2. 寒がりで冬に弱く夏でも割と平気です。

3. 声がかすれたり低くなります。

4. 便秘

5. 過多月経

6. 顔や足の甲がむくんで体重も増加します。

7. 精神活動が低下するので、昼間でも眠たかったりぼうっとしていたり、物忘れがすすんで認知症や精神病と間違われることもあります。

 

次に機能低下症の代表的なものをあげます。

B. 橋本病

三重県の橋本策(はかる)博士により初めて報告された病気で、甲状腺の炎症により甲状腺が腫大するとともに、しだいに甲状腺組織が破壊されて甲状腺ホルモンが作れなくなります。進行すると甲状腺機能低下症の諸症状があらわれますが、進行は多くの場合とてもゆっくりなので、検診で甲状腺腫をしてきされたり、血液検査で甲状腺ホルモンが低下していることから発見されたりする場合もよくみられます。

C. 甲状腺術後

バセドウ病や甲状腺腫瘍のために甲状腺を切除した後で機能低下症になることがあります。

D. その他

脳下垂体に原因があっておこる甲状腺機能低下症や、いろいろな薬の副作用で甲状腺機能低下症になることもありますが、頻度は高くありません。この中で外来でよく見られるのは、昆布の食べ過ぎによる甲状腺機能低下症です。昆布をはじめとする海草類にはヨードがたくさん含まれていますが、過剰のヨードは甲状腺の働きを抑えて機能低下症を起こします。健康によかれと思って行った根昆布療法で機能低下症になる人や、都こんぶが大好きでホルモンが低下したおばあさんをよく見かけます。イソジンうがい液(ヨード製剤)で瀕回にうがいを繰り返しても同じことが起こります。